岡林染里が、染めをするときに心掛けることは、
ただ、「色が長持ちするように、糸が長持ちするように、健康に良いように」ということなのです。
「色は、草木にまかせる」ため、染める上がる色が毎回違ってきます。
まったく同じ染まり具合ということはありません。

 もともとの草木染めは、薬草から始まっているようです。
薬草は飲んだり食べたりすることで、中からの健康を保ちます。
また、草木染として身に付けることによって、外からの健康を保ちます。
ですから、色は長持ちしないといけないし、健康に良くないといけないと考えています。

 宝しぶ染は、虫や汚れがつきにくく、十年以上長持ちし、
その発色は年を経るごとに美しい色合いを見せてきます。
「草木染めは、色あせするものと言われているし、その具合が魅力の一つでは?」と聞くと、
「色あせするのが本物、なんていうのは、大嘘や。ということは、命を大切にしてないんや」と答えます。
「草木染めのために、木を切り、草を刈る。そこで草木の命は絶たれる。草木の命は、染めることで色に変化する。だから、少しでも長持ちするようにするのが、本当だ」と…。

 宝しぶ染は、ひとつ染めるのに、ゆうに3、4年以上かかります。
染を何回も重ねるから、時間がかかるというのはもちろんなのですが、植物を採る時、染める時、下準備にも時間と手間をかけるのです。
「草木の声を感じるくらいの修行をせいや」という想いで、工房を「草木の心(そうぼくのこえ)」と名付けました。
草木の命が、心が、岡林染里の染めには染みとおっているのです。