柿しぶは、古来より、防虫効果や防水効果などの性質のため、和紙や皮などに塗料として利用されてきましたが、布の染料としての歴史はありません。

 柿しぶは、非常に粒子が大きく、粘着力が強く乾いては付着するという性質を持っています。
後者の特性から、誰でもが簡単に色を出すことができます。
しかしながら、前者の特性から分かるように繊維に入り込み難く、表面的にしか付着していないために、
当然摩擦に弱く、少し擦るだけで簡単にハゲ落ちてしまいます。
何十回染め重ねても、布がどんどん硬くなり、柿渋の皮膜が厚くなるだけでなのです。

 擦っても洗ってもハゲ落ち難い柿しぶ染をする為には、柿渋を布(繊維)の細胞の中に浸透させる必要があります。
岡林染里は、歴史に存在しない、文献も見本もなく、先人もない中で、あらゆる技法を試し、試行錯誤を重ね、独自の柿しぶ染を確立しました。
これが「宝しぶ染」です。つまり「宝しぶ染」は「柿しぶ染」をベースに、「柿しぶ染」を超えたまったく新らしい工芸品、さらに芸術作品といえます。

媒染剤について:
 柿しぶ染には媒染剤は全く必要ありません。
むしろ、媒染剤を使用することにより柿渋の持つ独特の色が死んでしまうし、布に染み込んでいないと定着剤にもまったくならないからなのです。